シネマ5454

すずめの戸締まりのシネマ5454のレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
3.3
2023-207本目 

今作好きな方、本当にごめんなさい。あまり評価高くないので、気分悪くされたら本当にすみません。

複数回見たら、もっと評価が上がるかも…でももしかしたら、下がるかも…。

子供向けと見たらいいのかな?
それとも、深く読み取るのかな?

なんにせよ、まずは、
描きすぎ、と思いました。

たくさんの「行ってきます」。帰って来れなかった「行ってきます」
そこに囚われたすずめの、それとの訣別のお別れ(戸締り)の「行ってきます」

それをまんま描くので、うぅん、って感じました。
それをストレートに描かなくても感じさせるのが大切と思っちゃうのです。


あと、監督はこれをロードムービーと言ってたのですが、出会った人に、もう少しテーマを感じさせて欲しかったなぁ。

そこを積み上げることで、描きすぎず、テーマを感じさせてくれて、それと同時に主人公達の成長、視聴者の考えや感情が深まっていくのが、ロードムービーの良さと思うんですよねぇ。


今作は、正直、そこがとても甘く感じました。
生きること、家族、育てるものの辛さや育てられるものの言葉にならない気持ち、いろんな事情、夢、大人になること、感謝、などなど、掘り下げられていたようには感じませんでした。


3.11のロードムービーの良作「風の電話」と比べちゃうと、残念に思いました。


あとは、相変わらずの、ボーイミーツガール、にオメラスから歩み去る人(多数の幸せと1人の犠牲)がテーマ。そこはいいのですが、成長を感じなかったです。

ダイジン達の犠牲は???
すずめの子になりたかった、何十年も要石として暮らしていたダイジン。力尽きたかのように見えたので、案外サクッとすずめ達はまた要石にしてしまったけど。

これがやはり元気だったら。そして、やっぱりすずめと生きたいと言われたら?
すごく苦しい展開で、それでも、好きな人を選ぶ葛藤、何かを犠牲にしてでも好きな人と生きていきたい、死んでもいいと思っていたすずめの、生きたいと思うようになった気持ちにもっとフューチャーできたのでは?
その気持ちを大切にするすずめと、ギリギリでそれを理解するダイジン、、、のようにもっと深められたと思うのですが…。

そこへの葛藤は描かないんだぁ、、、。

ある意味、潔かったけれど、その犠牲の上の幸せ、災害で亡くなった人、原発で戦った人、そのなんとも言えない哀しみ、業、みたいなのをこのテーマで深めないってのは???
さらっとしすぎでは??と思っちゃいました。

うーん。ずっと見てきてるけど、新海監督のシナリオは、やはり納得いかないことが多くて、なんかモヤモヤします。

冒頭15分のワクワク感は5点満点だっただけに、とても残念でした。

好きな方、ごめんなさい。
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