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すずめの戸締まりのKのレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
2.5
この作品を観て誰が救われるのか。それを考えると、その多くは当事者以外の人々であるように思えた。蝶。ハウル似の草太。ミミズ。かしこみ。祝詞。鍵。キュゥべえを想起するダイジン。椅子。結局は対岸の火事。この作品の中の出来事がすべて架空なら平気で観ていられたと思う。でもそうではない。明確な数字。どうにもならない現実をファンタジーで塗り替え、絶対に手に入らない夢を見せ、それを感動および救済としてエンタメ化し提供する。想像でしかないけれど、当事者が本作を観たら余計に辛さ虚しさを感じるのではないだろうか。現実との対比。喪失感。背景の省略。可哀想目線。個人的には、部外者の自己満足のように思えて序盤からずっと苦しかった。『君の名は』を観たときにも感じた残酷さ。ただ新海誠監督のやりたいことが分からない訳ではない。手法の不一致。知名度と注目度の高さを生かして、命を失わないための行動を織り込んだ作品もぜひ作ってほしい。昨今の揺れの多さから思うこと…閉じ師、仕事しろ…下さい。
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