Keizysoze

ティルのKeizysozeのレビュー・感想・評価

ティル(2022年製作の映画)
3.8
—ティル TILL—
★★★★☆ 3.8点
その他の映画レビューは @keizy_soze

#2022年製作
#2023年映画メモ
#映画館 で鑑賞

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★4.5以上 殿堂入り。人生変える名作
★4.0以上 人生で価値や影響を得られる傑作
★3.5以上 質高く万人が楽しめる秀作
★3.0以上 視野広がるが一度観たら十分な佳作
★3.0未満 観る価値無し。時間泥棒な駄作
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心に残り、刻まれる映画。

本作は本国アメリカでは公開されるやいなや
賞賛の嵐が巻き起こり、各国の映画祭でも
スタンディングオベーション続出、
主要60映画祭で86部門ノミネート、
内21部門受賞するなど
世界中で一大ムーブメントを起こしている。

製作にはウーピー・ゴールドバーグ、
そして007シリーズのスタッフらが名を連ねている。

なかでも、主人公メイミー・ティルを演じた
ダニエル・デッドワイラーは、
数々の映画賞で女優賞を総なめに。

映画批評サイト「Rotten Tomatoes」では
批評家96%・オーディエンス97%の高スコア。

ただし、この作品は心して観て欲しい。
以下ネタバレ無しで紹介します。

【あらすじ】
14歳の黒人少年エメット・ティルが、
白人女性に対して⼝笛を吹いたという理由で拉致され、
激しいリンチを受けて殺され、遺体が川に投げ捨てられる。

息子の変わり果てた姿と対面した母親メイミーは、
この陰惨な事件を世に知らしめるため、
ある大胆な行動を起こす。

彼女の行動は多くの黒人たちに勇気を与え、
アフリカ系アメリカ⼈による公⺠権運動を
⼤きく前進させるうねりとなっていく。

丁度本作が本国で公開された2022年に
60年以上の時を経て、バイデン大統領が署名し、
人種差別によるリンチ行為を連邦法で
憎悪犯罪(ヘイトクライム)と初めて定義した
「エメット・ティル・反リンチ法」
が成立されたのも本作を後押ししている。

【みどころ】
上記の非道な実話を忠実に再現している内容のため、
観ていて本当に心が痛み、いたたまれない。

同じ人間同士でただ、肌の色が異なるだけで
こんな鬼畜にしてしまう人種差別問題は
改めて深い歴史と恐怖を感じた。

だが本作は人種差別変革をもたらした
息子を愛する一人の母親の愛と正義の行動が
あったことを示すアメリカ史でもある。

68年の時を風化させずに世に出した
ウーピーゴールドバーグに敬意を表したい。

実話系映画のラストにある登場人物の今、
は一層非情な現実を知ることになるが
最後まで観届けてほしい。
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