ShuheiTakahashi

ティルのShuheiTakahashiのレビュー・感想・評価

ティル(2022年製作の映画)
3.7
正直、そこまでのめり込んで観ることができなかった。
理由としては、
ボボのことをあまり好きになれなかった。
母親とボボの関係性が好きになれなかった。
母親の演技が好きになれなかった。
音楽がおおげさ。


ボボのイキり具合が嫌だった。
甘えるときのママという呼び方が嫌だった。
14歳だから、子どもだからという理由では好きになれなかった。
女性に向って口笛を吹く行為は正直気持ち悪いし、子どもだから許すというのは、黒人だから差別するのと似ている気がする。
だからといってリンチして殺す行為は到底許されない。
女性に対して口笛を吹いたとしても、殺すというのはおかしい。
ここには子ども1人を大人5人がリンチし殺したという事実しかない。
それを無罪としてしまう。
大げさだとあざ笑い、ペテンだと言い放つ。
襲われたと嘘の証言をする。
これは何一つ終わっていない問題だ。
人間が生きる限り続くのか。

実際にボボを殺した、白人2人をあえてほとんで映さずにいた演出はよかった。
これは個人の問題ではなく社会全体の話だからだ。

裁判で証人として話す母は良かった。
殺した2人とは対象的に母の顔しか映らない。
その感情の動きと表情。
顔映画で、裁かるるジャンヌを思い出した。
裁判のシーンではないが、母の演技だけで十分なはずなのに、所々大げさな音楽が入ってきて正直邪魔だった。
序盤はホラーなの?みたいな音楽があったり、中盤以降は感動的!みたいな大げさな音楽。
そういうのがなくても伝わる、むしろないほうが伝わるのにと思った。

序盤の母が息子を心配するだけのシーンは正直多いし長い。
南部がどれだけ危険なところなのか伝えるためとしても過剰な気がした。
伝えすぎ。
そこまで伝えなくても伝わる。
親切すぎて映画としてつまらなくなっていた気がする。
面白さで判断する映画ではないとは思うが、映画にするならある程度必要だと思う。

息子の姿を世間に見せると決意してからは感情移入できた。
息子の死と向き合い、初めて自分のものではないと、子離れしてからは感情移入できた。

実話でなければ観れなかったなと感じる。
ShuheiTakahashi

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