Nyayoi

ティルのNyayoiのレビュー・感想・評価

ティル(2022年製作の映画)
3.8
シカゴで息子のエメットと平穏な暮らしをしていたメイミー。エメットが初めてミシシッピ州マネーの親戚宅を訪れ悲劇は起こる。

シカゴとは違うことをしつこく注意していたメイミーだったが、エメットは白人女性へのちょっとした振る舞いで怒りを買い白人集団にさらわれ、壮絶なリンチを受けた末に殺されて川に投げ捨てられた。メイミーは息子の凄惨な姿を伝え、センセーショナルな力となる。

エメットの死も受け入れ難いことだが、その後の南部の裁判も酷すぎる。陪審員は全員白人、全てにおいて差別が甚だしい。証言すれば身の危険も大きい。そもそもその地には住めないと覚悟をしなければ証言できないのだ。
あまりの不条理に言葉もなく終始思い空気がのしかかる。

「放置すれば何も解決しない」というメッセージがとても重い。
ティルの死後67年経ってようやく制定されたリンチに関する法律。
いまだに全てが解決したわけではなく、差別感情は根強いのであろう。
しかし、こういった人々の想いと歴史があって少しずつでも進化し、今に至っているという事実を知るべきだ。

ちょっとだけ、こんな状況なのにエメットが重大に受け止めていない感じが最初から漂っていて危うかった。北部で不自由ない生活が当たり前だった少年、その感覚のずれは同じようには理解し難いだろう。地元の黒人少年た地は最初から危機感いっぱいだった。

日曜日なので劇場ハシゴしてダブルヘッダー。
2本目にこれはちょっと重かったが、多くの黒人差別の映画の中でもかなりインパクトは強い作品だった。
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