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TAR/ターのきのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
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まぎれもなくおどろくほどの怪演だったのでは。ケイト・ブランシェット。さいなまれる恐怖のビジュアル化はシャイニングだった。息をつめて見守ること。再起。ひととのコミュニケーションはほんとうにむずかしい。己の悪意と畏れをコントロールすることも、他者の悪意から逃げることもむずかしい。どっと疲れてしまう。合わせ鏡のように自分のいろんなことを試みる。正当な意見とおもっていたものが、自分の正当性だけで他者を傷つけるものでなかったのかとか。さりげない加害者描写、でもリディアに感情移入させることで被害者にも見えなくもない。その振れ幅に混乱する。音楽という芸術への業を感じてしまう。複雑性を複雑なまま提示してくれることに安心する。
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