yoko

TAR/ターのyokoのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
4.4
最後のオケ、中央左よりの団員がずっと貧乏ゆすりしてたの気づいた?

思いの他音楽が鳴らない。肩透かしを感じたとするならそこだろう。もちろん意図的だと思う。フォーカスするのは神経症的な主人公が感じるノイズや叫び声や生活音。BGMをクラシック名曲集みたいにしちゃうとぶれる。

でも観る前はもっとブラックスワンとか糖質よりで、境界の曖昧なラインで右往左往する映画かと思った。が意外にやり取りは現実的に見える。破天荒な音楽家の糖質や境界の話にすると個人の資質に準拠しすぎてシステムの話にならないからかもしれない。

絵の雰囲気は最近だとMENとかを思い出す。
基本車のシーンはトンネルや、高架下のような場所に潜っていく、トンネルから抜け出すというのではなく、出口はあまり見えないダウナーな感じ。

一個一個のシーンは長い。映画的な意味合いというよりかクラシック曲の冗長性を表しているように感じる。「ちみたちにこの冗長さがわかるかね。オサレな曲なんてかけないからこれでも観ていたまえ」のような。ドイツ語にも字幕をつけないスノビッシュな感じ。

去る前の講演の入場シーンは素晴らしい、おっさんみたいな顔で登場。ここでも音楽は奏させてくれない。

最後はタイ、フィリピン、ベトナム、東南アジアのどこかというやり取りを感想で見たが私はタイで良いのかなと思う。ジェンダーに寛容な国、キリスト教ではない仏教国、白人社会から堕ちるなら対になるタイかな。


都落ちしてからは散々出てきたトンネルのシーンは出てこないのである種前向きになれたのだと思う。空も明るい。

最初に出てきた民族音楽やってましたというのがたぶん主人公の出はそこまで上流じゃなくて、実家?の感じもまあ普通なので、カチカチのハイソサエティクラシック畑の人でもないのかなっていうのが逃げ道というか落とし所というか。都落ちというよりも下から上、また下に戻ったくらいの。また東洋の民族ゲーム音楽からやり直すか的な。私が見間違えてなければ(ピントもあってないので分かりにくい)最後、団員がステージで貧乏ゆすりをしているのだがそれを受け入れているとするならやり直せる。

まあケイトの本気が見れるだけでもお釣りが来る。
秘書、ヴァイオリン彼女、第一チェロあたりの愛憎入り混じった表情
その支配下とは別次元のオルガの肉食系な感じも素晴らしい。


ペトラ=ペット


もやみ
仕事部屋の隣があのレベルの階層とかありえる?クリスタは自殺するようなタマかなあ?話のため取ってつけたように感じる。
yoko

yoko