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TAR/ターのKのネタバレレビュー・内容・結末

TAR/ター(2022年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

なにも教えてくれないけど教えてくれている映画
どんな映画って言われて説明できないし、あとからトレイラー観たのも良かった(観ないほうがいい)長いし、字幕追って画面追ってで頼りない私の頭をフル回転で見終わったあとまあまあの疲弊を感じた。大歓迎の良い疲れだけど^ ^

オーケストラとかクラシックの固有名詞とかその背景がわかれば解像度が上がってもっともっと深い解釈できる作品なのでパンフレットだけでも読むべき

感想見てても本当に観る人によって解釈がめちゃくちゃ分かれているのもおもしろいし楽しい!(お母さんと観に行ったけど親子でも全く違うかったし、あそこはあれだよねとか話できて一日中楽しかった)

私は主人公にそこまでの嫌悪を感じなかったむしろ友好的に映っているなと思った。
前情報では孤高で自分と他人を追い詰めるパワハラ権力に溺れたマエストロの失墜!みたいなのをイメージしてたから、才能も社交性もあるし愛情と情熱もある彼女を否定的には観られなかったし、むしろ同情的に観てた。だからこそたまにでる様子がおかしい部分に恐ろしさと不穏な空気を感じた。

キャンセルカルチャーが大きいテーマの映画っていう評が多い印象だけど、私はそうじゃないと思うんだよな、、作中criteriaっていう単語が頻出してたけどまさにそれぞれの人が持つ基準によって捉え方が違うしそれを肯定している
最後欧米でキャンセルされた後、アジアで再スタートをきるリディアの姿には絶望ではなく、恐らく昔のリディアであれば馬鹿にしていたであろうゲーム音楽のオケでも誠意をもって取り組んでいる、自身の問題を克服したあとのリディア・ターの音楽家人生第二幕の開幕という希望的観測をしたい!!!

大筋はあれども正解とか事実とかなくて観る側が自由に解釈して自分だけの映画にできる(リディアも作中でそんな話してたな)深く長い余韻を味わえる作品。とりあえず一回しか観てないと消化できない^ ^のでもう一回観たい

最後になるけど、深い内容とか考えなくても音響、空間、構図、照明どれ取っても至高だった。ヨーロッパの乾いた空気に響くオーケストラの音には、ほとんど嫉妬に近いものを感じてしまう。
ケイトかっこよすぎだろ!人間の枠超越してた

2回目観た!
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