しお

TAR/ターのしおのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
3.7
楽しみにしていたター、音楽に対する知識が浅いうえに賞好みな、示唆に富んだ映像で難しかったけれども、ケイト・ブランシェットはいつだって薄氷を踏むように張り詰めて生きる女がうますぎる。
そしてまたすごいなと思うのは、この映画ターを男が(或いは人種の異なる人間が)やっても違和感ない作りの強さ、圧巻。
相手を人として見ない・人として扱わなければ必ずしっぺ返しが来るし、才能溢れて若くてしたたかで美人で軽薄な女に狂わされてだめになるのは男も女も変わらんのだ…………女だから、男だから、を違和感なく描いて(実際そうじゃないとしても)入れ替え可能なふうにするのが平等なのかもしれないね。
そして、3時間近くある映画なのに、最初の10分ほどいささか説明が多くてたるいが、それ以降はスピード感があるわけじゃないのに一瞬だったのが本当にすごい。出ずっぱりのケイト・ブランシェット。彼女見てるとこれが映画なのを忘れてしまう、こういう人生を生きる女にしか見えない……。
予告やキャッチコピーでは、ラストがハッピーエンドかバッドエンドか、どういう意味を持つかみたいな論調だったけれどもあれはハッピーエンドだと思いましたよ。
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