ピョンちゃん

TAR/ターのピョンちゃんのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
4.0
疲れた。本気モードのケイト・ブランシェットを158分間も浴びるのでとにかく疲れた。でもおもしろかった。すごい映画なのは間違いないでしょう。何もかもがグレーに描かれていて観る者にジャッジさせない。実に巧妙な作品でした。論議を呼ぶであろう題材に多様な解釈が発生していて観た人のレビュー読むのも楽しいです。

以下率直な感想です。多少内容に触れるのでご注意ください。
ターは極めて真っ当な人で少なくともモンスターだとは思わなかった。生徒との議論の場面は単に彼が議論に負けただけに思えたし「クソビッチめ」みたいな捨て台詞吐いてたけどいやおまえ相手が男なら絶対そんなこと言わないだろうとそっちの方が気になった。娘をいじめるガキに「容赦しねえぞ」って凄むのなんて全然普通なのでは。副指揮者は単に無能だったんだろうしフランチェスカも付き人以上の存在ではない。クリスタについては謎だけど微妙だった可能性は高い。お気に入りの抜擢はさすがにやりすぎかなと思ったけれどあれも純粋に才能ゆえの選出だったのかもしれない。ターの"やらかし"はちょっと残念というかありきたりな感じがした。あそこだけ浮いてるような気がする。じゃあどうすればよかったのかはわからないけれど。ただ"その後"はよかった。ああいう後日談は斬新。茫然とさせられた。
シャンタル・アケルマンの『アンナの出会い』にオマージュを捧げたシーンがあるらしいけれどどこかわからなかった。次観る時は注視したい。
ピョンちゃん

ピョンちゃん