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TAR/ターのkatsuのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
4.2
構図や脚本、そしてケイト・ブランシェットを始めとする俳優陣の演技。どこを取っても一級品である。静謐な作りの中にふつふつと湧き上がる怒りや疑念、渇望、ズレを描き、ラストの噴出まで駆け上がる。

観客がターを見つめる視線が、映画の中の大衆と同じものになるように計算されたオープニングや、常に両義的な描き方などにより、大衆と権力の脅威性を露わにしている。

伝統や気品、知性など上流階級の娯楽としてのオーケストラを標榜しているように見えて、実は最初からそれらを嘲笑う者たちの視点でも描かれているという多重的な構造に気づいた時は痺れた。
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