まっと

TAR/ターのまっとのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
4.0
パワハラ、セクハラで糾弾され居場所を追われるおっさんのような主人公。ヤバいおっさんの話なら普通だが、それを女性がやっているところがミソ。

今の時代、どんなに優れた才能でも、ハラスメントや差別発言が発覚したら、もう永久に評価されない。この映画が、そんな状況を肯定しているのか揶揄しているのかどうかはわからない。そこは見た人の自由なのだろう。

しかし、バッハは子だくさんだから男尊女卑、だから聴かないという学生には笑った。そんなんでキャンセルカルチャーしてるなら、もう何も聴けないだろ。完全無欠の聖人なんかいないんだから。

最後がクラシックでなくて、アジアで演奏されるモンハンであるのが極めてクリティカル。
自分はハラスメントもしないし、あらゆる差別もしないと思いながらこの映画を見ている意識高い系な人々に対して、
ゲーム音楽よりクラシックのほうが高級、
アジアより欧米のほうが上、
とあんただって差別的に思ってるだろ、と不意打ちを食らわせているかのようだ。
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