指の小指

TAR/ターの指の小指のレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
4.0
T A R
A R A
R T T

芸術を隔てて対峙する、完璧に作り上げられた“ター”と卑劣で醜悪なその一面。

とにかくグレー、意図的に事実・出来事を観る側に目撃させ、その先の判断は委ねてくる。

・人間性と作品価値

・パワーとコントロール

・ルーズパワーとアウトオブコントロール

・マーラーの交響曲「No.5」と金魚鉢の「No.5」

引っ掛かりが多く、何が正しくて何が間違いか、そもそもこの映画のジャンルをどう捉えるのか。まさに、マエストロの舵を失った楽団は何処へ向かうのかという心許なさがそこにはありました。

リディア・ターの原点とも言える民族音楽とエンドロールから始まるオープニング。そしてその精神は再び原点に立ち返ったかの様に見えたゲーム音楽とエンディングという構成も隙が無く、環境音から感じる恐怖、鏡を特徴的に捉えるカメラワークも目を見張ります。

彼女が音楽に対しては打算無く真摯に向き合っていることは、ケイト・ブランシェットの素晴らしい演技も合わさり多分に感じる事が出来ました。ラストにネガティブな感情を抱く方もいるらしいけれど、私は全く思わなかったな。

ずっと違和感が付き纏う作品でしたが、頭髪のあるマーク・ストロングが一番違和感だったのは内緒にしておきます🤫

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指の小指

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