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TAR/ターのmaのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
2.9
終始落ち着かない気分。
後からスリラーと書かれているのを見て納得。
講義での、音楽を作曲者の人間性で判断してはいけない、というターの話はなるほど全くその通りと思いつつも、彼女がやらかしたことのせいで世間から拒絶され音楽家として転落していくのは、まぁそれはそうなるわな、と…皮肉なもんだ。彼女が音楽に対してどんなに真摯に向きあっても、世間はその人の表面ツラしか見ないし、それはどの業界でもそんなもんだよね。社会生活を送る上ではやっぱり人間性が重視される。誰だってターみたいな人と仕事するのは嫌だもん…。
かつてはずば抜けた才能があればセクハラパワハラも見てみぬふりしてもらえた(≒黙らせられた)かもしれないが、今の世の中そうじゃない。いやはや、ターが冒頭のインタビューで女性指揮者が正当に評価されないことについて語ってる辺りが非常にグロテスク。タチの悪いことに、ハラスメントする人は本気でそんなつもりないんだよな(ほんと人間はゴミ※自分への戒め含む)。そしてターは自分の加害性に漸く気づいての金魚鉢ゲロだったのかな。

よく言えば示唆に富む、悪く言えば凝りすぎた映画だった。
どんな場所でも音楽に真摯に向き合うことを貫く姿勢が垣間見えて、私には前向きなラストに思えました。それだけが残るって、結局音楽家として一番素晴らしいことじゃないかな。
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