デブチンバラ

TAR/ターのデブチンバラのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
4.0
恐らくは相当な努力を重ね、楽譜を通じて百年以上も前の音楽家たちとも対話が出来てクラシック音楽を誰よりも深く理解するという類まれな才能の持ち主であるリディア・ターは自らの指揮でオーケストラを操り、観衆に感動をもたらした。そんな優れた人物でありながら、否そんな人物だからこそかもしれないが、彼女は冷徹な人であった。もちろん人への愛情深いところもないではないが。そんな彼女の心を映す鏡のようにこの映画は固くてひんやりとした印象をもたらす。その理由は冬枯れの季節が設定というだけではなさそうだ。ケイト・ブランシェットの表情が常に超然とした人のそれだからかもしれない。それとも数多く登場する無機質な空間がそう感じさせるのかもしれない。ターは脚光を浴びる。その光もまた冷たい光なのだろう。
デブチンバラ

デブチンバラ