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オペレーション・ミンスミート ーナチを欺いた死体-のpenのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

モンタギュー少佐は作戦の為なら意図を込めたメッセージを何度も書き直して提出することが出来るのだが(しかしそれも最終的には……)、一方でアメリカに避難した妻に宛てた手紙を書く手が一向に動かない。終盤で書こうと筆を持つものの、結局は書き始められない。特定の誰かへ向けての意図を込めたメッセージを書くのは一つの作戦ではなく、自分自身と向き合う作業なのかもしれない。だから作戦遂行の為に生きてきたモンタギューにとって、それは難しい行動だったのでは。本作は死体偽装によって遂行される作戦の一部始終を描いた作品だが、死体よりもむしろメッセージを送る手段(特に手紙)に意識が向く作品だった。

作戦の準備と決行の様子が軽快な分、極秘進行する作戦の展開過程と人の奥底で密やかに湧いた心情をリンクさせていくドラマの構成は、少々停滞した印象を抱く。
情感のあるドラマを役者陣が熱演する為、それを観ているのは良いといえば良いのだが。
戦時中の街並みや夜の風景、死体が運ばれていく過程など、ちょっとした場面でも広くロケ撮影しているように見えて、実際どうだったかは定かではないが、全体的にリッチな映画だったなぁと思わせた。

こう振る舞わなければならないに縛られたモンタギュー少佐の心が解きほぐされていくドラマとしての作品に振られていたように思う。
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