タクマ

アンネ・フランクと旅する日記のタクマのレビュー・感想・評価

4.3
アンネの想いと魂がこもったアンネの日記がアニメーションだから作り出せる世界観で甦る。
アンネ・フランクとアンネの日記を題材にした作品は数あれどアンネの空想上の親友であるキティを主役にしたのはこれだけじゃないでしょうか?現実世界でも肉体を得たキティがアンネの過去と現代を行き来しながら愛や優しさ、戦時下のユダヤ人迫害と現代にも通じる問題を見つめていく展開は設定としても良くできてますし物語としても大変ファンタジックです。多くの人々が犠牲になったユダヤ人迫害。しかしこれと近い問題が難民問題として現代にも通じる物がある。形は違うように見えるだけで居場所を強制的に追われる事の悲しみと絶望になにも変わらない。アンネの死後から80年近くたった今もアンネと同じ様に生まれや人種から故郷を追われ差別される人々がいる事になにも変化はないのだ。我々人類はこの間にアンネの日記と彼女の人生からなにを学んだのだろうか?本当に必要なのは歴史の1ページとして忘れない事以上にその記録を継承し現代から未来へと伝えて行こうとする強い信念だと思う。どんな時代でも1人でも多くの人々を救いたいという願いが世界に真の共済をもたらす。静かながらも力強い作り手のメッセージがこもったラストに涙すると共にアンネが望んだ自由な時間をキティに与えた監督の優しさに救われた。個人的には文句無しで今年のベスト10入りの映画です。傑作!この作品が世界中のアンネを救う事に少しでも繋がります様に。
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