米焼酎

いくえにも。の米焼酎のネタバレレビュー・内容・結末

いくえにも。(2022年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

何度か見ることによって感想が変わる不思議な映画。

最初に見た時はホラーかと思いました。村上虹郎演じる主人公だけが血の繋がった家族ではなく、何か(洗脳など)によって家族と思い込んでいるのかと。
隣人の訪問により、家族ではないことに気がついたものの、結局拠り所がなくまた戻ってきてしまうーーというストーリーだと思いました。母親が仏壇に手を合わせていたので、てっきり死んだ息子の代わりにされているのかと。

しかし、二回目見た時に、あれ?と気がつきました。
隣人の「何度か伺ってもタイミングが悪かったみたいで」という言葉に、普段この家には誰もいないのだとわかりました。
(ところでチワワを抱える青柳監督かわいいですね)
毎週土曜にしか集まらない家族。つまり他人。わざとらしく飾られた写真も綺麗に盛り付けられた食事も、よりよい家族を演出するための要素。
なぜ主人公だけ混乱に陥ったのかと考えれば、他の人たちよりも「本物の家族」だと思い込みすぎていたからでしょうか。他の人は仏壇だの写真だの、「そうではない」ものを持っていたので。

血の繋がっていない人たちが週末に家族ごっのをする。傷をもった人間たちの箱庭のような家。歪ではあるが、それが別に悪いわけではない家族の形を映し出した作品です。
米焼酎

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