ひとみ

いくえにも。のひとみのネタバレレビュー・内容・結末

いくえにも。(2022年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

青柳翔初監督作品。
初見はちょっと不気味だし
内容も難しいなと思いましたが
観る度に新しい発見があり、
同じ作品を観た後にこんなにも
感情が変わったのは初めてでした。


※以下は私自身が感じた思い、考察です。

◆母は旦那さん、産まれて間もない子供を亡くしている(初見は旦那さんを亡くしたと思っていたが小さな遺影もあった。また、子供の写真がなかったため)。
◆父は離婚?して奥さん、娘さんと会えなくなった(死別も考えたが本当に仲の良かった家族なら3人での写真を持ち歩くのでは?と思った)。
◆修平は幼い頃本当の親に捨てられキリスト教の養護施設で育った(電話BOXへ入る子供が過去の修平の記憶で迎えに来た子、首からプレートを下げた施設の方が礼拝と言葉にしていたため)。
◆夏美は本当の親から虐待を受け辛い日々を送っている(初見は父母が再婚して2人の間に出来た子供かと思ったが足に痣があるように見えた。また、お皿を落とした際酷く怯えていたし「ごめんなさい」と敬語で謝っていたため)。
◆隣人妻は修平の本当の親?(年齢を聞いていないのに「お仕事は何を?」と聞いていたし''礼拝''というワードで修平の過去の記憶を呼び覚まそうとしているように思えた)。
◆本当の家族を失った悲しみから電話BOXに「本物の家族になりませんか」と書いたのは母でそれを見た父、修平、夏美が母の元に集まり土曜日だけの''擬似家族''が生まれた。
そして、本当の家族とは出来なかった
一家団欒での食事をすることでそれぞれが
思い描く''普通の幸せな家庭''を築くため毎回同じ会話をしている。
◆同じ食事シーンでもカット割が違う部分があったが
それが意味するものは何かはわからなかった。
◆「いくえにも。」というタイトルには
本当の家族との別れ、暴力等に苦しんでいる現実から脱却するために''同じことを繰り返し''幸せな未来を創るための後押しとなっているのかなと感じた。
また、「。」には土曜日の幸せから''一区切り''打ち、次の土曜までの現実と向き合う意思表示になっているのかなと思った。

この作品を通して普通に過ごせている
毎日が1番幸せなんだなと感じたし
この家族には幸せになってもらいたいと
思えるくらい感情移入しました、、、。
青柳監督が【正解はない】と言っていた通り
観る人の受取り方によって捉え方が変わる
とても素敵な作品でした。
いつか長編作品も観てみたいです!
ひとみ

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