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田舎の日曜日のotomのレビュー・感想・評価

田舎の日曜日(1984年製作の映画)
5.0
『人生にどこまで望めば気がすむの? 』と大事な事を2回言っている。答えはどこまでも、老いても未だ鎧戸を閉める段階にあらずって事で沁みまくる。今やり直せよ未来を、に年齢は関係ない。セザンヌ的な光使い(特にカフェのとこ)、失われた原風景とフォーレ使いで結構ガチガチにフランスしてて良い。こっちにしてみたら時代もお宅も理想郷なんだけど、集まった中の人達は1900年頃の新旧のジレンマ、それに加えて人生の敗北者(己が定めてしまったもの)って事で超複雑な人間模様が世にも美しい風景の中で交錯する。親しい間柄でも感じる感情の二面性の捉え方、描写のいじわる加減がまぁ的確な事。それでいて、幾つになっても真っ白なカンバスから始められる可能性があるって云う力強い人間賛歌。素晴らしい。
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