度怒り炎の介

ケイコ 目を澄ませての度怒り炎の介のレビュー・感想・評価

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)
5.0
最高。今年1番よかった。
ぶつかったオッサンが怒鳴り続けているのに気づかないまま岸井ゆきのが階段降りて去っていくシーン、そのあと同じロケーションが反復されたときに時間差でめっちゃ喰らってすすり泣いてしまった。

インタビューを受けるときの三浦友和だけ、他の演技とリアリティラインが違うっていうか、現実に近づけるように喋っている感じがするんだけど、それが、サイレント映画式字幕や静止画の挿入と同列でギミックっぽく感じられた。それらの切実さというか嫌味のなさに痺れる。
てか三浦友和ヤバすぎる。こんなにヤバい三浦友和見て泣かないのは無理。

ほぼ常にショットの中央に重心があるように感じられるも、ど真ん中に人をぽつんと立たせるような構図は控えており(写真を撮るシーンでは敢えて撮られる人をど真ん中からズラしている)、ここぞというときにそれっぽいのが数回だけ繰り出されてる。三宅監督が中央に構図をキメることの美しさと品のなさを心得ているのは、この映画とDos Monos『アガルタ』のMVで東京都の旗を立てる没 a.k.a NGSを見れば明白だと思う。

ブレッソンぽいと思ったけど、ブレッソンにはない圧倒的にシンプルな情感(emo)みたいなのがあって、それでもって、めっちゃヒットして欲しい…。
でも、あの夜の荒川の水面は、ユーロスペースで見た『白夜』のセーヌ河なんだ!!とかキモい事思いながら勝手に感動した。