まず、岸井ゆきのちゃん、すごすぎる。これやりきったのすごい。声を出さずに表情で演技をすること、ボクサーになりきること、どちらも積み上げなければ成り立たないもので、見事にやり切っている。感動。好き。演技力が凄まじい。とってもリアルで実在すると思わせられる。
テーマとして、聴覚障害・ボクサー・コロナ禍が挙げられると思う。
・聴覚障害者という観点で見れば、いかに日常生活に困難さがあるか、葛藤を解消するために苦労するか、そういった点を追体験でき、こちらが考えることができる作品である。
・ボクサーという観点で見れば、戦い続ける意志の難しさ、スポーツ業界の継続の難しさ、運動をする楽しさ、などの点で楽しめる。
・コロナ禍という観点で見れば、マスク社会の弊害、不況の経営に関する害、などの点で考えさせられる。
映画としては、ケイコは聴覚障害者のため声をほぼ出さない。それゆえに、映画内の音は少なく、心理描写は表情メインとなる。なぜ主人公がその行動をしたのか、今何を考えているのか、これらはこちらが読み解かなければならない。よって、視聴者は苦労するかもしれない。単調に感じる可能性もある。一方で、追体験し自分がケイコになりきることができれば、一層楽しい作品である。
そういう意味で、観る人を選ぶ映画だとは思う。