耳が聞こえないからこそ、傷ついたことも、苦しいことも多かったと思うし、それ故に人一倍強くいなきゃいけなかったのかなと思った。
対戦相手に日常生活の中で会った時、ケイコはどう思ったんだろう？相手を殺そうとするくらいの勢いで戦ったとき、これまでやってきたことと、ジムの閉鎖も相まって、ものすごいエネルギーを相手にぶつけていたと思う。試合中に足を踏んできたし、相手に対する憎しみもあったと思う。そんな対戦相手が、みるからに肉体労働をしていて、自分に対戦に対するお礼を言ってきたら、どれだけ複雑な気持ちだろう。頑張っているのは自分だけではないのだということに気づいたのだろうか。それとも相手への憎しみよりも己の弱さに気づいていまい、もっと強くなりたいと改めて思ったのかもしれない。
最後の夕暮れからだんだん夜に、そして朝を迎えて人々がまた活動を始めていくという映像がすごく良かった。
街中の人工的な音と、自然の音が混じり合って人々の営みを感じさせた。どんなに辛いことがあってもこれからも生活は続いていくし、前に進むしかないんだなと思った。
