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ケイコ 目を澄ませてのnのレビュー・感想・評価

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)
3.8
最後の30分を、1時間かけて見た。
泣いて画面が見えなくなった。
丁寧な描写と光の画面に見覚えがあるかと思ったが「君の鳥は〜」の監督か。
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恩師ができた。小学生以来。
小学生の時の恩師との関係は「私が優秀で、子どもらしい詩を書き、いい子でいること」が大前提としてあって、その選択は私が選んだものかというと、そうではないと思う。
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今の恩師は、私が優秀でなくとも、良い絵を描かなくとも、きっと私を想ってくれる。
会長は、ケイコが聾者じゃなくとも同じように教えただろう。それと同じ。
ボクシングを通してでしか繋がっていないと思っていた関係が、自身の人間性をきちんと見ていてくれたと気づいたならどうか。
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私は恩師が良い絵を描かなくとも、絵さえ描かなくとも、恩師を想うだろう。
私に父がいないも同然であることを知って、父のような存在でいることを受け入れてくれたからだ。
絵はきっかけにすぎない。人として、恩師が大事だと気づいた。
そんな私の姿にケイコが重なった。
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最近泣いていない。昔は毎日泣いていたのに。
昔と呼べる日がくるなんて思いもしなかったけど、もう大丈夫って、自分を信じてるからまっすぐ言える。悔しいとか、悲しいとか、イライラするとか、聞こえないけど、声に出したことに意味があるように、自分との対話ができるようになったから。人は一人で孤独だけど、それを教えてくれるのは自分以外の他人だってケイコがわかったように私もわかったんだ。

2023.12
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