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ケイコ 目を澄ませてのネットのレビュー・感想・評価

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)
4.5
しみじみと良い映画。帽子の継承とか三浦友和を真似る岸井ゆきのとかは予想を超えないから「ですよねー」しか言えないけど、良いもんは良い。
序盤のコンビネーションのシーンが良すぎて笑ってしまう。あとボックスステップをダンスとして撮ってしまうのも。『THE COCKPIT』でのOMSBの首振りとやってることは同じ。継承とか真似とかは演出の良さで、それには正解とか間違いとかが割と明確にあるわけだけど、他のシーンとの繋がりがないところの良さであるコンビネーションやダンスというのは俳優の動きの良さである。継承や真似はある種の映画の伝統に則ったものであるが、動きの付け方は作り手による発見や発明に近いのかも。『きみ鳥』の方がまだ好きなのは、俳優の動きの良さ/気持ちよさがあるシーンが今作より多かったから。今作がこぢんまりとした感じがあるのは伝統に則りすぎな雰囲気があるからなのかも?(ジム前の階段が良いよねーなんて口に出して言った日には、映画好きのための撒き餌に自ら釣られにいくようなもんだなあとか嫌なことを思ってしまう。実際良い階段なわけだけど)
ラスト近くで(多分)初めてカメラがレール移動するのが感動的。
トレーナーの松浦さんが泣いたのを見て笑う岸井ゆきのがとても魅力的。笑顔がいいというのもあるし、彼女に当たる光がとても良いというのもある。撮影・照明とは、いかにカメラの目の前で起きる出来事を魅力的に捉えるかという試みなのだと理解した。
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