鹿shika

ケイコ 目を澄ませての鹿shikaのレビュー・感想・評価

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)
3.8
耳が聞こえないながらも努力の末にプロボクサーとなり、リングに上がり続ける女性。生まれつき難聴を持つ元・プロボクサー・小笠原恵子の自伝「負けないで!」を原案に元に作られた映画。

あ?ちょっと待って?
“目を澄ませて”ってタイトルが控えめに言っても秀逸過ぎると思わんか?

1番に、瞬発力と洞察力が試されるスポーツだと思うんだが、耳が聞こえないと、相手の動きが読めない。
ボクシングにおいて、風を切る音は本当に大切なのに、それを弊害とせずに練習に励む姿がなんとも素晴らしい。
そしてこれは不謹慎かもしれないが、無音であの熱い戦いを繰り広げているという感覚は、結構興味がある。
私にとって『ロッキー』が人生の映画に入るくらい、ボクシングモノの映画が好きなのだが、全てのボクシング映画は、試合中に互いが吠えあったり、観客の熱い声援が聞こえないボクシングはどんなに、鮮明なのだろうか。

綺麗なボクシングをする主人公のアクションは、無音だからこそできたことだったのかもしれない。
とにかく、静かな戦闘心というのはどこまでも美しいのだよ。
そして彼女がボクシングが好きということが痛いほどよく伝わってくるので、見ていて気持ちが良かった。

ほんで最後のエンドロール?の描写が美しすぎる。
これはこの作品でしか表現できないエンドロールだと感じたし、ボクシング映画と思えないくらいの綺麗なエンドロールの入りだったね。
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