あなぐらむ

憂なき男たちよ 快楽に浸かるがいい。のあなぐらむのレビュー・感想・評価

1.3
シネロマン池袋さんで本公開時に鑑賞。

久々のエクセス新作だったが、俺には合わなかった。尺は70分ないと言うが、体感はもっと長かった。
所謂「致命的な女」モノである。地方都市が舞台なのも恐らくはパルプノワールを意識しているのだろうが、一番必要なものが欠けている。魅力的な女である。

弱いホンの些細な瑕疵を、女優の魅力が補うケースは映画には幾つもある。それは演技どうこうではなく、観客を画面に惹き込む佇まいだ。それが無い悪女ものは一番不幸な仕上りになる。

また、小説における人称が最初と最後で違っているのは多くの人も気になるだろう。語り手の変転をやっていいのはトンプスンだけだ。本作の場合、「羅生門」的な語りが適切だろう。信頼おけない語り部こそ選択されるべきだ。

時折おっ、と思わせる遠景や、人物の配置に気を使った画もあるにはあるし、画質のザラザラ感などは後藤大輔っぽい所もあるのだが、持続しない。途中から、これは誰だったらハマったかなと考えてたんだが、宮下順子か麻由子さんなんだわ。

あと、タイトルに「。」がついてる作品はつまらん神話が今回も立証された。最近、ピンク映画のタイトルセンスひどい。本読め。それともシナリオ題のままなのか?