シャチ状球体

凪の島のシャチ状球体のレビュー・感想・評価

凪の島(2022年製作の映画)
3.2
人口の少ない離島と聞くと排他的な風土なんじゃないかと心配するけど、人が居なさすぎると逆にそこまで息苦しい空気にはなりにくいのかもしれない。良くも悪くもほぼ全員が知人なので、海外にある日本人コミュニティのような連帯感が生まれるのかも。とはいえ少子高齢化で未来はないし、人と人との距離が近すぎてプライバシーが守られないので住みたくはない。
あと、流石にお見合いを薦めてくる中年女性が出てくるのは僻地感を誇張しすぎなのでは……。

映画の内容としては、親子関係を軸にした一見感動的な話が展開されるけど、内実は婚姻制度やエイジズム、家族主義を無批判のままに肯定する"地域社会"の肯定。
性別二元論的で同調圧力の強い結婚式のシーンを見てこの島に行きたい人なんているのだろうか……。

山口県のPR映画としては可もなく不可もなくといったところ。医療と就労へのアクセスが難しい田舎の逃げ場がない空気がリアルで、これは人が都会に流出しても仕方ないよね。
シャチ状球体

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