シャチ状球体

ブラックベリーのシャチ状球体のレビュー・感想・評価

ブラックベリー(2023年製作の映画)
4.2
性格が全く違うマイクとジムの凹凸コンビが話しているだけでコントのようだし、ナードだらけだったブラックベリー社が成長するにつれて社員におけるビジネスマンの比重が高くなっていくのも、企業経営と人間関係のかみ合わせの悪さが露わになって面白い。
ドゥームガイことダグが真面目に仕事をやらなきゃいけなくなるのは何だかか悲しく、借金はあっても絶対最初の頃の社風が一番働きやすかったよね……。

数々のピンチをチャンスに変えてきたマイク達を何度も見ているからこそ、最後のピンチがアップル社のiPhoneで……ここまでの絶望感もなかなかない。
ジムの有無を言わせぬ強引な営業とマイクの革新的なアイデアの両輪がお互いを支え合っていたのに、会社の規模が大きくなるにつれてそれぞれのダメな部分を補う人もいなくなり、時代の波にも乗り遅れて、絶対に妥協をしないと決めていたものにも妥協をして、最終的には振出しに戻る。

勝負は時の運というか、つわものどもが夢の跡というか……ブラックベリー社は2010年代後半までキーボード付きスマホを販売していたみたいだけど、既に5G対応のスマホは開発が中止されているみたい。

基本的に屋内ばかりの映画なのに一つの歴史を間近で見たような圧倒的なスケール感があったし、テロ対策ユニットのメンバーがリアルタイムで危機に対処するドラマ並のカメラのブレが現場の空気を見事に表現しているし、何より勉強にもなった。
2024年のスマホはGalaxyやXiaomiなど、6.4インチ以上の大きいサイズの製品が流行しているので、更に小さい画面に物理キーボードが付いてるブラックベリーの居場所はたぶんない。大抵のラブストーリーよりはマイクの後ろ姿の方が悲しいよ。
シャチ状球体

シャチ状球体