ツクツクボーシ

ハバルダのツクツクボーシのレビュー・感想・評価

ハバルダ(1931年製作の映画)
4.2
道をあけろ!とまあ結論の予め定まったソ連プロパガンダ映画。ジョージア(グルジア)守旧派を喜劇的に葬送する構図は大変にクレバーで何度も周囲に祝福されては、こんなはずじゃなかった守旧派ジジイが酷い目にあってて笑う。こういうアナーキーなセンスはメドヴェトキンの「幸福」や「私のお祖母ちゃん」にも通じる。

そしてなんといっても構図の素晴らしさ、圧倒的な格好良さ、ユーモラスなズボンをずらす運動と反復。ジジイの棺に対してカメラが寄った魚眼レンズぽい絵なんて最高。この時期のソ連映画が世界の最先端だったことの証明と言えるだろう。

古い建築が民衆を傷付けている!という問題意識。建築、都市計画への意向も実にこの時期のソ連らしさに溢れている。

ところでレーニンの絵はちゃんとはっきり出てくるのにスターリンがぼんやりうっすら背景に佇んでいるのが却って恐怖なんだが…。
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