谷口

英雄本色の谷口のレビュー・感想・評価

英雄本色(1967年製作の映画)
3.0
服役中の時間を吹き飛ばす乱暴な処理、驚きつつも良いなと思った。漠々としていてアヴァンギャルドさえも感じさせる出所シーンがかっこいい。夜の街でのショットがフランス映画ばりに決まっていた。パトリック・ツェーが転がり込むスラム街のお粥屋にいる子どもたちが愛おしい。半身不随の物乞いに『挽歌』のチョウ・ユンファが重なる。随所に散りばめられるユーモアも効く。お茶目なスリや裁判で証言してくれた行商のおばさんなど。地下組織のアジトで下っ端たちがチープな回転扉から出ていくところなども微笑ましい。更生を目指す出所者を取り巻く諸々の困難に焦点を当てた社会派の視点が強いが、ラスト、撃ちつ撃たれつ撃ってしまうという拳銃の振る舞いが熱かった。お話の情報量が多くて若干長いな、とも思ってしまった。劇中でのロン・コンとツェーの関係性がそのままジョン・ウーとティ・ロンに置き換わっているというのは(ロン・コンの顔を知らず)観ていて気付くことはなかったが、なるほど面白い
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