谷口さんの映画レビュー・感想・評価

谷口

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ファースト・マン(2018年製作の映画)

4.0

光と音で語ってる映画。傑作。序盤から中盤にかけて、ひたすら船内の密室空間にしかカメラは置かれず、最後、月面に降り立ったときに初めて目の前の空間が開けていく。ライアン・ゴズリングの精神と画面が連動してい>>続きを読む

パラダイスの夕暮れ(1986年製作の映画)

5.0

良い友だちと良い音楽、うまい煙草があればそれでいい。愛し合うふたりが向かうのはユートピアかと思いきや、後の歴史は崩壊を示唆している。歌謡曲的世界観をここまで粋に撮れるひとが他にいるだろうか。イチャンド>>続きを読む

ファースト・カウ(2019年製作の映画)

3.0

安直にオールドジョイやウェンディアンドルーシーを思い出したし、自己模倣みたいなところは意識していると思う。夜な夜な牛の乳を絞るというだけで2時間見せるサスペンスになっているものの、ポスト西部劇としては>>続きを読む

枯れ葉(2023年製作の映画)

3.5

見つめ合うカラオケのシーケンスが大変に良い。やっぱりカラオケって映画。途中に出てくるシネフィルおじさんもかわいかった

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

1.0

畏敬とか内省とでも言うべきものを微塵も感じさせず、軽佻浮薄この上ない。戦争の語りを特攻に頼りきる貧弱さ。戦争どころか戦後を知らない人間が取り扱っていい題材ではないし、ゴジラそのものが戦後である以上、こ>>続きを読む

花形選手(1937年製作の映画)

3.0

街道を行き交う人だけで映画が成立してしまっているという事実を前に驚嘆するほかなし。唐突に街道を外れて始まる突撃訓練の横移動に興奮

東京マダムと大阪夫人(1953年製作の映画)

5.0

天衣無縫の大傑作。皮肉とユーモア漲るカワシマ・スクリューボールの極地。アヒルのモチーフは言わずもがな、月丘夢路と水原真知子、芦川いづみと北原三枝の対比、高橋貞二が灯をつける部屋を見つめる芦川いづみ、失>>続きを読む

セインツ -約束の果て-(2013年製作の映画)

3.5

ほんと侘び寂び。やはり淡白過ぎるようなところもある。私はもっと情熱を浴びたい。ゴーストストーリーを見直そうと思いました

死の十字路(1956年製作の映画)

3.0

大坂志郎がとても良かった。よくできたお話だけど、井上梅次の大味な演出との相性は微妙と思う。盛り上がってるのに、そこでなぜ切り返さないのか!と思うようなショットがままある。『夜の牙』も同じような探偵モノ>>続きを読む

ひろしま(1953年製作の映画)

3.5

瓦礫から這い出てくるところの移動とパンニングに始まり、山田五十鈴の迫力がとてつもない。霊感が宿っているとしか。原爆投下直後の地獄の行列、兵隊の無慈悲な演説に首を垂れながら炊き出しに並ぶ行列、原爆ドーム>>続きを読む

月蝕(1956年製作の映画)

3.0

バーカウンターでの三橋達也と月丘夢路の距離感など凄く良いと思いきやダラダラ会話が続いて長いし、踊っている金子信雄と月丘夢路の靴が交差したのちに壁ドンとなるところもなかなか見応えがあるし、その他にも見て>>続きを読む

踊りたい夜(1963年製作の映画)

2.0

基本的に散漫なのだけれど、水谷八重子のシーケンスで佐田啓二が絡むシーンがことごとく良い。佐田啓二がいないと映画として成立していなかったと思う。スターはやはりスター

EUREKA ユリイカ(2000年製作の映画)

3.0

クロマチックB&W素晴らしい。曖昧模糊な光と影のゆらめき。とにかく美しい映画だった。九州の映画。阿蘇という土地の包容力。どこを切り取っても一枚の写真のように端正なショットが積み上げられていく様に、個人>>続きを読む

東海道四谷怪談(1959年製作の映画)

3.5

シネスコを使い果たさんといわんばかりの画面の豊かさに惚れ惚れする。だからこそラストで効いてくる若杉嘉津子の神々しさよ。仇討ちの白装束を纏う可憐な北沢典子も眼福。天知茂には血糊がよく似合う。チャンバラが>>続きを読む

ラヴ・ストリームス(1983年製作の映画)

3.0

夢のシーンはどれも面白い。大クラッシュにプールサイドでの手品、突然のミュージカル等。他は舞台を見ているような気分になる。ただ離婚調停のところは良い。たしか「俺妹」で桐乃が記憶喪失になる話があったような>>続きを読む

インディ・ジョーンズと運命のダイヤル(2023年製作の映画)

3.0

歴史の闖入者であったハリソンフォードが文字通り「闖入者」となってしまうメタ的構造に関東緋桜一家を重ねる。ここまでくれば地中海に抱かれて眠るジョーンズを見てみたかった気もする。復元された若かりしジョーン>>続きを読む

怪物(2023年製作の映画)

4.0

諏訪湖の不穏さ
柊木陽太は歴史に名を刻んだ

劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE(2023年製作の映画)

3.0

遠山の金さんにとっての入れ墨、水戸黄門にとっての印籠、仮面ライダーにとってのキック、あるいはサイコパスにとってのドミネーター。ちょっと展開が早過ぎる観あり、アニメの3期を見ていなかったからかもしれない>>続きを読む

AIR/エア(2023年製作の映画)

4.0

ナイキ本社にてジョーダン家との商談のシーンでの不規則に交わる視線、そしてマット・デイモンに収束していく様がお見事という他なし

恋多き女(1956年製作の映画)

3.0

バーグマンでしかあり得ない映画。序盤で馬車を降りて群衆の波に揉まれながら右往左往するバーグマンが尊い。愛が蔓延していくクライマックスは、スターと観客の関係性を連想させるのでメタ映画チックにも映る。あれ>>続きを読む

非常宣言(2020年製作の映画)

1.0

色々とダメ。世にパニックは数あれど、中でもウイルスパニックは最も映画と相性が悪いパニックかもしれないと気づく。潜伏から発症までの静的な時間が映画にとっては無駄でしかない。それを克服するために先人たちは>>続きを読む

ハーラン郡(原題)(1976年製作の映画)

3.5

みんな良い顔してる。ジョン・L・ルイスの演説が印象に残った。米スタバの労働運動と重なる。炭鉱に向かうベルトコンベアーや車高の低いカート、ターザンロープみたいな移動手段が楽しげ。トロッコは出てこないけど>>続きを読む

ナイト・タイド(1961年製作の映画)

2.0

超常的かつ観念的なささやかなる小品、確かにレフンが好きそう。『人魚伝説』の方が面白かったと思う

孔雀夫人(1936年製作の映画)

4.0

後半から傑作。旅行代理店のカウンター前でウォルター・ヒューストンとメアリー・アスターが交わるか交わらないか、瀬戸際の駆け引きにハラハラと胸躍る。この二人が出てくるショットの演出はもれなくギンギンに冴え>>続きを読む

青空恋をのせて(1932年製作の映画)

3.0

冒頭のThドライヤーみたいなカットでビリー・ダヴが偉い大人に詰められるシーケンスも無視できないが、蠢く群衆と止まない紙吹雪に彩られたヴェニスのお祭り騒ぎな舞台装置が嘘かと思うほど最高なので、それだけで>>続きを読む

夫婦善哉(1955年製作の映画)

2.0

淡島千景のスーパー独壇場。
司葉子とのツーショットが嬉しい

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