◆あらすじ◆
アイルランドにてイギリス軍人のジョディがIRA（※）の集団に拉致されてしまう。IRAはジョディを人質にイギリス軍に捕まった仲間の釈放を要求する。監視役としてファーガスがジョディと付きっきりだったが、過ごすうちに2人の間に友情が芽生え始める。しかし、痺れを切らしたIRAはジョディを処刑することにし、ファーガスが処刑役を引き受ける。
※IRAはアイルランド共和国軍であり、イギリスからアイルランドの独立を目指した武装組織のこと。テロ行為を行う。
◆感想◆
IRAの一員のファーガスがイギリス軍人のジョディとの出会いを機にIRAとは違う方向へ進んでいくストーリーとなっており、IRAを離れた後、ファーガスはジョディの恋人のディルと出会い、迷いながら進んでいく姿が印象的な作品となっています。
ファーガス（スティーヴン・レイ）はIRAの下っ端でリーダーの指示によりジョディの監視役になります。ファーガスは優しく、テロ組織に身を委ねているのが不似合いな人物として描かれており、人質として拉致したジョディからもその人柄の良さを指摘されています。ファーガス自身にIRAの一員としての信念や覚悟が感じられず、とてもイレギュラーな存在に見えました。
ジョディ（フォレスト・ウィテカー）は明るく陽気な人物として描かれており、自分の要望を酌んでくれるファーガスに対して親しみを持ち始めます。ジョディもファーガス同様、優しい人間であり、ジョディとファーガスが協調していくのも当然のように思えました。
あることをきっかけにIRAの基地は崩壊し、ファーガスはIRAを離れてジョディの恋人のディル（ジェイ・デヴィッドソン）に会おうとします。そして、ファーガスとディルの関係は次第に深まっていくのですが、これがなかなか予想外の方向に進んでいて、観ていてとても驚きました。ファーガスとディルの関係の特異性が本作の見どころだと思います。
終盤、IRAの生き残りがファーガスに接近し、再びテロ活動に参加を要請されます。ここからファーガスとディル、ファーガスとIRAの関係がそれぞれ絡み合って緊迫感のある展開になっていきます。ファーガスの本心の部分が上手く描かれており、その演技からしっかり伝わってきました。
ストーリーに一つ変わった設定を入れたことにより、ストーリー全体に大きな変化をもたらしていて、とても興味深く観ることができました。
面白かったです。
鑑賞日：2023年12月17日
鑑賞方法：CS ザ・シネマ
（録画日：2022年12月20日）
