このレビューはネタバレを含みます
映画の構成上というのもあるのかもしれないが、主人公他登場人物の行動には個人的には理解できる面がある一方、共感はできなかった。
個を犠牲にして何かを成し遂げようとすることとそれを仲間に強要ではないにしても、その人の意思だからと、助かるための「転向」をよしとしないのは、いくら天皇君主制に反するためとは言えどうなのか?
結果として天皇君主制は第二次世界大戦の失敗により間違っていたということになり、伊藤千代子の思想は間違っていなかったという感じで映画はしめられていたが、何が正しくて何が間違っているかは、その時代によって変わり、不変なものはない。
体制にあらがっている内はそれでいいかもしれないが、あらがっている方が体制側についたらどうなるか?天皇君主制に戻そうとする人を弾圧しないといいきれるか?
現状を良くするために、何かを変えようとしていくことは大事だが、自分たちの考えが正しいからと、現体制の中のルールに違反して、犠牲を出しながら突き進むのは果たして本当に正しいのか?(間違っているとは言っていない、時にはルールに反しなければならないこともある)
主題がぶれるから無理なのかもしれないが、体制側の事情にも触れてほしかった。明らかな悪として露骨に描かれているように思えた。
個人的には体制側につきながらも生き延びた浅野晃さんの生涯についてもう少し知りたいと思った。