Train

ARIA The OVA 〜ARIETTA〜のTrainのレビュー・感想・評価

ARIA The OVA 〜ARIETTA〜(2007年製作の映画)
4.5
【もう少しだけ、あと少しだけ あなたの側に】

いくらサボり魔でもARIAに関してだけはどうしてもどうしても書いておきたくて、2回ほど申請したところ追加していただけました。いや、ホントありがとうございます...書き始めるのにかなり時間が掛かりましたが。

まず映像が1期、2期と比べて随分印象が違う。アスペクト比が16:9になり、色の塗りはメリハリが付き、作画の質もかなり向上した。2期からの一年でここまでの進化を遂げたことに驚く。OPはいつもの窪田ミナ✕牧野由依の優しい曲ではなくSONOLOUSの少し物悲しくもどこか神秘的な曲に変わっている。

普通OVAといえば本編のおまけレベルの話で所謂ファン向けビデオとしてでしか機能しないがこのアニメにはそれがない。きっちり30分本編並の濃い内容。原作でも描かれなかったアリシアさんの過去について焦点を当てたエピソードで、灯里ちゃんの入社試験時彼女が胸の内でどう思っていたのか分かるようになっている。

灯里ちゃんがいつの間にかプリマ(一人前)に昇格し後輩ウンディーネを指導する立場になっているという不思議な夢を見る所から物語は始まる。夢の中の彼女はプリマという高貴な称号とは裏腹に自信無さげな様子。何故ならいつも頼りにしている先輩のアリシアさんはもう隣にはいないから。目覚めても心はぼんやりしたまま。その日の夜アリシアさんに夢の内容を打ち明け、不安を吐露する。自分には後輩をきちんと指導する器量がない、と。そんな彼女にアリシアさんは自身の過去について語り始める...今回は大切な人が自分の前から去った時この先どのように歩んでいけばいいのか、将来についてのお話だ。

ARIAではいくつか別れをテーマにしたエピソードがある。代表的なものを挙げるならやはり1期11話「そのオレンジ色の日々を…」と今作だろう。「そのオレンジ色の日々を…」では全てを変えてしまう時間という残酷な概念に対してどのような姿勢で毎日を生きれば良いのかをARIAらしい心温まる語り口で教えてくれたが今作もでもその軸はブレない。登場人物だけでなく、見てるこちらの背中も支えてくれるのだ。「お別れは寂しいけれど、悲しいことではないわ」作中のこの言葉が意味を発揮するのは3期最終回。全てを理解した時きっと涙を流すだろう。
Train

Train