人生で見てきた邦画の中で、最もタイトルバックのタイミングが好きかもしれない
ここで出てくれたら気持ちいいなって場所であの字体がスクリーンに映し出されれば、もうそこからはシィちゃんとマリコの不器用ながらもお互いを想う関係にズブズブとはまっていく85分と短くも濃密な時間の始まり
永野芽郁の役作りも奈緒も含め、子役から全員の素晴らしい表現力が原作の良さを引き出しているのだろうなと、原作未読ながら感じた(終映後、すぐに購入)
特に素晴らしかったシーンは2つ
1つはシィちゃんが初めて泣くところ
込み上げてくる嗚咽とそれを俯瞰で撮るカメラワーク、絶妙
2つめはカフェで腕を折っているマリコを見てシィちゃんがブチギレるところ
ただ怒り任せに叫ぶのではなく、本気でマリコを思って訴えている
そんな気持ちが伝わってくる目をしている、声をしている
一方のマリコはそれに対して「怒った?」と一言
この発言の異常さと奈緒の表情にゾワッとした
他にも良いシーンは沢山あるが特筆したのはこのふたつ
気持ちのいい話ではない
明日からも生きていこうと元気を貰える話でも無いかもしれない
ただ、間違いなく"なにか"を感じる
それは"友情"かもしれないし、"愛"かもしれないし、はたまた"成長"なのかもしれない
人それぞれ、この映画を観たあとで言い表せれない"なにか"を言語化しようと必死になるのだろう
映画が終わり、隣に座っている人と語る人もいれば、こうやって文字にして昇華する人も居るだろう
この過程こそが映画の醍醐味であり、この作品はそれを可能にする良作なのだと
それが伝わればこのレビューを読んで貰えた甲斐が有るなと、そういう気持ちです