小さき麦の花のなみのレビュー・感想・評価

片隅でひっそり生きてきた2人が、少しずつ寄り添い支え合いながら、贅沢とは程遠いながらもささやかな幸せを糧に日々を積み重ねていく。

どうしてこんなにも真面目で心優しい人々が搾取されるのか、そう見えてしまう哀しさを感じつつ、過酷で美しい自然の中で慈しみ合い生きる2人の姿が胸に迫る。

変わりゆく時代を背景に、造れども造れども壊される家に象徴される、置き去りにされたかのような存在があることを感じさせられる。

在りし日の歌と並び、また一つ胸に刻まれた中国作品であった。