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苦い涙のYKのレビュー・感想・評価

苦い涙(2022年製作の映画)
3.5
ファッションデザイナーの女が若い同性への恋に翻弄される様を描いた、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』のリメイク版。主演の2人は女性から男性に変更され、映画監督の男が若いモデルに恋焦がれるという構図になった。

基本的な筋書きはファスビンダー版を踏襲しているが、ファスビンダーが異性の物語を取り上げたのに対し、こちらは同性愛者であるオゾン監督が同業で同年代の男を描いたという点で、かなり監督の実感が込められた作品ではないかと思う。主人公が恋するアミールなんかはかなりフェチっぽい撮られ方をしているので、オゾン監督が主人公ピーターの目になって撮影したのかもしれない。全体的にテンポがよく、室内劇ながら開放感のある部屋が舞台なので、個人的にはファスビンダー版より楽しく観ることができた。
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