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苦い涙のカラシニコフのレビュー・感想・評価

苦い涙(2022年製作の映画)
3.6
オゾン監督自身が尊敬してやまないファスビンダー監督の作品を大胆にリメイクした作品。『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』は、演劇みたいに一つの部屋で、話の展開が為されてたが、この作品は設定上、少し違っていた。なので少し別物のような気がした。

主演の雰囲気や演技を見た時に「ファスビンダー監督を意識しているのかな?」と思った。また、シドニーは、ハンナ・シグラっぽいな、と思った(ちなみに本人も年老いたけど、出演している)。

映画監督がどんどん若手俳優にのめり込んでいき、破滅する様は、ファスビンダー作品にもあったので、良かった。
ただ、ちょっとキレイ過ぎたかな…。ファスビンダーは、ややキッチュな感じがしたから。
「映画では弱者の立場になるが、私生活では強者の感じになる」みたいなニュアンスのシドニーの言葉で胸を引き裂かれた。
やはり救われない感じは、共通して垣間見える。良い作品だけれど、ちょっと物足りなかったな…。まあ、ファスビンダーが偉大過ぎたのかもしれない。
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