Elly

午前4時にパリの夜は明けるのEllyのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

ミカエル・アース監督の作品は本当に寂しくて優しいな。エリザベート家の3人とタルラの、短い時間での淡々としたあたたかい繋がり。

今作も喪失からの回復がテーマだったけど、喪失と向き合う環境や過程が三作それぞれ異なるのが面白い。もちろん同じ向き合い方は一つもないので正しい姿なんだけど。

「サマー・フィーリング」では、主人公が恋人が亡くなった後の空白の時間(夏の季節)を、自分と同じく大人である彼女の姉とともにある種味わうようにじっくり過ごすのに対して、「アマンダと僕」では母を失っても早い速度で成長していく小さな姪を前に、悼む時間もないまま悲しみの中で奮闘する青年を描いていた。

「午前4時に〜」は、7年という長い時間の中で、エリザベートの夫の喪失からの回復と、短期間でやって来て去って行ったタルラに対してのマチアスの喪失が描かれる。エリザベートの方はあの家を手放したことによってカタがついたように見えたけど、マチアスはあの後も長い間喪失を抱えていくのかもしれない。

それぞれの喪失を抱えた人たちが(抱えていない人も含めて)お互いに寄り添ってあたたかいつながりを築くことの有り難さと素晴らしさが最高でした。
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