せいけ

午前4時にパリの夜は明けるのせいけのレビュー・感想・評価

4.3
比較的地に足ついた物語でフィクション的な飛躍も抑えられていながらいい映画を見ているなという感覚が最初から最後まで途切れない
子育ての役割も大方終えて、新たな人生を始めざるを得なくなった女性とその家族が等身大のものとして描けている
バカみたいな感想だけど、自分の母親もこんな感じだったのかもしれないと思わされた映画は意外と初めてかもしれない
主張が激しいタイプのキャラクターたちではないが無意識に自分はそこに存在し続けていながら小さくも当人には切実な葛藤も感じさせる
窓を象徴的なモチーフとして扱う映像が個人的に好みだったのでそこもポイントが高い
大きい窓に映る外の景色には特徴的な建物がある
おしゃれな部屋の内装も相まってどこかSF的な空間にも見えてくる
窓に映るあり得た様々な世界線がありながらも今のこの家族たちの生活を地道に着実に生きている様を映しているかのよう
行き当たりばったりな感じも含みつつ苦味もありながらどこか爽やかな余韻が残せるのはフランス映画の特権なのか
やはり改めていい映画を見たと思う