ブリリア短編。
バブズ。レストランで働くバブズ。レストランで働く肥満なバブズ。レストランで働く肥満で不安障害なバブズ。レストランで働く肥満で不安障害で前科者のバブズ。
イメージと共に彼女の背景が拡がる。それは彼女の理解に繋がることもあれば、知りたくないことにも拡がってしまう。
魅力的な客に声をかけるとき、彼の娘の顔が引きつっている。バブズに眼差しを向ける彼女にはどんな彼や家族との背景があるのだろう。
同僚との関係は凄く現代的だ。友だちでも恋人でもないし、かといって仕事だけの関係でもない。「どうでもいい」から少しは関心をもっている関係。物語では美しいけれど、それが現実にも適するかは疑問だ。
バブズが母と再会する場面は美容室だ。これも凄く現代的だと思う。労働とケアの側面があり、かつ髪には触れるから親密さが醸し出される空間。昨今の邦画では『恋人のみつけかた』、『違う惑星の変な恋人』、『夜明けのすべて』でも美容室や髪を切る描写が確認できる。
とても現代的な本作。彼女のデートは功を奏するのか。血縁関係に囚われない家族関係で現代性を示すように思われるが、家族関係に拘泥するならそうはいかないとも思ってしまう。