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牛久のyadokariのレビュー・感想・評価

牛久(2021年製作の映画)
4.1
『チェチェンへようこそ』の後に見ると、日本の税関で行われていることこそチェチェンなのだ。そうした恥ずかしい国家になってしまった現実を受け止めなければならない。

なによりもこれを撮影したのがトーマス・アッシュ監督は、プロのジャーナリストでもなければ映画監督でもない。難民支援のNPOをやっていたキリスト教関係の人で、あまりにも税関の人権のなさに憤りを感じて撮影をしたのだった。隠し撮りが問題にされることが議論されるが、日本の法が国際的に守れていない(それを世界に向けて発信しているにも関わらず)のなら当然の行為だろう。

それだけの覚悟がなければ出来ないことであり、前に観た映画『チェチェンへようこそ』も法に反してやっているのである。まず法とは何かを考えるべきなのだ。法が絶対的に権力者のものでも国家のものでもない。だから法が変えられるのだ。国家のためにではなく市民のために。

ウクライナ難民を受け入れを平然とした顔で公言する首相にこそ、牛久を観るべきなのだ。それがなければ国際公約もただの戯言。そういう「おもてなしの国」だということだ。『牛久へようこそ』がタイトルには相応しいかも。(2022年3月28日)
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