Kenjo

生きててよかったのKenjoのレビュー・感想・評価

生きててよかった(2022年製作の映画)
4.5
『生きててよかった』

ボクシングに全てを賭けた男が引退し、生き方を見失うが、闘う歓びを得るため地下闘技場で戦う話。

めっちゃ好きでした。
木幡竜さんという方が主演。中国で活躍されてた俳優さんらしい。ムキムキで体がめっちゃかっこいい。

ボクシング映画といえばおそらくロッキーが思い浮かぶ人が多いだろうが、この作品も影響を受けている。もはや引用してるので影響とかではないか。
主人公はロッキーのボクシング姿に憧れ、今野演じるトレーナー役はスタローンに憧れ俳優・ボクサーを目指しているという設定。生卵飲む場面などオマージュがたくさん。
ロッキーが栄光を掴む話だとすると、これは生きる意味を見つける話。

三島由紀夫の小説かのような映画。大義・目的を持って生きていた男が、目的を喪失し生きる意味を探し出す話。
結論も太く短く一生を生きろ!的な話なのでそのものだった。

地下闘技場のくだりはファイトクラブに通じる部分あるなあと思った。生を実感するために痛みを伴うという、強い思想。
これが理解できてなかったらなかなか難しい映画よねこれ。ただの暴力ではなく、自分が生きていることを証明するために戦うという男の熱い熱い拳のロマン。

幸子の存在もかなり極端に描かれてて、男の世界に存在する女性のメタファーのようで興味深い。不義理のシーンがどうしても受け入れ難い、、でも幸子役の人のアンニュイな表情が素晴らしすぎた。明るい表情も似合うけど、暗い表情がとてもよい。

アクションシーンの素晴らしさや、フラッシュバックのうまい使い方もあり演出の部分はほぼ文句なし。脚本も映画好きを唸らせるようなご褒美シーンもあり、男の生き様を2時間で描き切ったことへは尊敬の念しかない。

ミニシアター系映画ではあれど、これは傑作ですね。こういう映画が増えて欲しいなと切に思う。
Kenjo

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