最中と薔薇

PLAN 75の最中と薔薇のレビュー・感想・評価

PLAN 75(2022年製作の映画)
4.2
最近特に「コスパ」「タイパ」と若い世代の方々がパフォーマンスを気にするのが気になっているんですよ。
倍速視聴なんてその表れといいますよね。
そうしてパフォーマンスが悪いものは切り捨てていく。
零れ落ちたものはメインの部分じゃないかもしれないけど、そこには大事な部分をきちんと肉付けしていく部分があることも視野に入れずに。

PLAN75は国にとってパフォーマンスが悪くなった世代を、前向きに死を選ぶことがさもいいかのようにすり替えて、ばっさり切り捨てていく話。
今は切り捨てる側にいるヒロムも、成宮も、いつかは切り捨てられるかもしれないということは序盤にはまるで頭にない。
国に従い寄り添うふりをして誘導していく。

序盤に入る、タイトルバック「PLAN75」の75の文字が滲んでいる。
劇が進む途中に75歳からの施策であるが、65歳からの施策に引き下げ検討というニュースが入る。
「75」と括られている立場にいつ、自分がなるかもしれない。
それはたまたま年齢なだけ。
障害でも無職でも、社会の、いや政府のお荷物だと認識されれば、たった10万ぽっちのお金で人生を終えろと圧力をかけられる。
選択肢があるということは、「そうできるのになぜそうしないのか」という目も生まれる。
CMでは「未来のために」というセリフも入る。
しかし、未来がもうない世代は、のちの世代のために死を選べと、それができる人が前向きで幸せだとCMでは刷り込んでいく。

対象年齢であっても、お金があり住むところに困らず、権力がある政治家はPLAN75を作るだけ作り自分たちは使うことはないでしょう。
政治家である自分たちにとって有益なものだけを生き残らせようというのがPLAN75だ。

鑑賞していたのはPLAN75世代ばかり。
これはいつ、自分の物語になるかわからないのですよ。
いろんな世代のいろんな人に見て欲しい作品だった。

※期待通り、河合優実はいい役者です。河合の目、倍賞さんの歌。ここはこの作品のフォーカルポイント。
※劇伴よかった。
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