しらす

PLAN 75のしらすのネタバレレビュー・内容・結末

PLAN 75(2022年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

良かった。余白が心地好い。
高齢者ってやっぱりマイノリティなんだなとあらためて思った。どんなに数がふえても、疎外される存在、弱者の属性とされている。少なくとも現代では。ある属性をもつ人が、その属性だけで疎外されず、弱者と判断されずに、必要なときは救いをもとめられる、そんな社会をどうすればつくっていけるんだろう。これは高齢者にかぎったことではなく、わたしたちの問題だとおもう。

序盤に公園のベンチに手すりをつくるシーンがあったが、これがかなり象徴的だと感じた。制度をつくることが、人々の行動をどんなふうにうごかすのか。自由な選択なんてできるのか、自由意思はあるのか。
くりかえし出てくる踏切が印象的で、たぶん「わたし」と「かれら」とか「弱者」とか、そういう隔たりをあらわしているのかと思った。若者と同じく働く主人公が、踏切をこえて家にかえると、「孤独な高齢者」という「弱者」になってしまう。「PLAN75」をすすめる公務員が、踏切をこえて小父に会いに行く。これは「かれら」の問題ではない。「わたし」たちの問題。

冒頭、めちゃめちゃ植松だな、と思ったら、たぶん実際意識してるみたい。あの事件も「頭のおかしい奴が起こしたヤバい事件」じゃなくて、わたしたちの日常とつながってるんだよな。この映画みていて、この制度って絶対すごい批判されるだろうしもっとそういう議論も(少なくともそれが存在するということは)みたかったなあとか思ったんだけど、看板になにか投げつけるシーンとか、そういうことか。この映画がすごくよかったのは、登場人物たちの心の流れをすごく繊細にえがかれているからで、そういう大きいところはちらっとみえるくらいでよかったのかもな。工場のやつとかも。

わたしたちは生まれることをえらべない。死をえらぶことはできる? それがなににつながっていくのか。この映画はそうじゃなかったけど、対象とされるのがもし本当に死が迫っている、病におかされた人だけだったら? それはいいの? どこで線引きするのか。それはほんとうにあなたの意思なのか。
死ぬこと。死がもたらすもの。あなたの死はあなたにはあまり関係無い。生きることも死ぬことも、ちゃんと考えなくちゃいけないと思った。まだうまく言葉にできない
しらす

しらす