今年見た映画の中で1番の映画だった。
パンフレットも購入。
もちろん笑えるとかワクワクするような内容では全くないが、文化的、社会的作品として素晴らしい。
「75歳になったら自ら死を選べる制度」
現実には存在しないが、映画を見終わったその瞬間から私たちの生きている現実世界にPLAN75が導入されても不思議ではないと思うほどあらゆる描写、設定がとにかく"リアル"だった。
私自身、福祉に関わる人が身近に複数いることもあり細かいところ(フィリピン人介護士、シルバーパートの休憩所や独居老人の暮らしぶりなど)まで目がいったが、監督はじめとした制作陣が現場の取材・調査をふくめ丁寧にこの映画を制作したことがわかる。
倍賞千恵子はじめとした俳優陣の演技も素晴らしく、社会派映画にありがちな説教がましい陳腐なセリフではなく「間」や「表情」で何かが伝わってきた。
BGMや映像も美しく「作品」としても素晴らしい。
早川千絵監督長編デビュー作品らしいが、日本の是枝裕和、英国のケン・ローチ監督を超えていると思う。(もちろんそれぞれの良さがあり作風も違うが)これからも注目していきたい。
ややネタバレになるが、
一人でもたくましく生きている倍賞千恵子演じる角谷ミチが"社会"により、PLAN75(死)を選ぶ姿は監督がとある番組で言っていた「社会によって"選ばされている"死」というものを強く感じた。
コロナ禍もあり「命の価値」や「世代間対立」が議論となっている今だからこそ、年齢問わずあらゆる人に見て欲しい映画だ。
