このレビューはネタバレを含みます
だめだ
倍賞千恵子さん本当に見てて美しい。
河合優美と磯村勇斗の送り出す側の感情、死を前にした衝動、激情、迫真だった。
死を前にした感情が揺れ動く。でもそれでいい。流されて、目の前の出来事に左右されて、ブレるのは悪いことじゃない。そうやって色々経験して自分になっていくんだと思った。
ただ美しく、美談にしてはいけない。それが法で認められたものであっても流されていいものではない。本人が望んでいる、そう決めつけてしまったら終わり。
この作品で良かったと思ったのは、大衆の意見を映し出すというような描写が一切無いこと。これが無いことによって、その人自身の人生と同じ視点で物語を観進められるから、観てるこちら側の雑念がない。
言葉や雑踏など無駄を全部省いてぽっかり時間を空けて、死というテーマと向き合うことに集中させる。そんなふうに感じた。
それぞれの視点から見た生と死、それぞれに生きる人間たちが少しずつ少しずつ影響を及ぼし合っている世界。
すごい作品だった。本当に見て良かった。