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PLAN 75のFのレビュー・感想・評価

PLAN 75(2022年製作の映画)
3.6
いろいろ考えさせられる映画、知識が足りなさすぎて考えてるぶってるだけなのが悲しい。

安楽死に関しては肯定的な立場だったけど、選ぶ、選ばないの権利を与える事は、選ばざるをえないって言う選択肢を新しく生んでしまうのか…って思った。こういう話の時に無意識に排除している層は確実にあって、そういう社会的分断を無視して進める時にズレが起きちゃうんだろうなと思わされる。そういうとこまで考えないとあっさい意見になってしまうの怖い…

無条件で10万貰えるだったり、実際の労働は外国人にさせたり、炊き出しが必要な層に積極的に宣伝してたり、PLAN 75の設定がもうあまりにもリアルというか、実際に10年後くらいに本当にありそうで凄い。

映画を観て一概に賛成も否定も出来なくなったけど、二元論で簡単に語れる問題でもないと思うから落としどころを見つけていくしかないと思う、何となく見て見ぬふりというかタブーになってる風潮もあるけど、避けられない議論だと思った。歳を取ればみんな同じ立場になる訳で自分達が賛否を戦わせた結果自分達がその運命を辿る事になることもちゃんと考えないといけない。だからこそ、自分の75歳の時を想像してちょっと本当に怖くなった。住む家もお金も、頼れる相手も当たり前とは言い切れなくて、なんなら死んでる可能性も全然ある訳で、どう生きてどう逝くかも大事なんだなと思う。


河合優実さんが急にこっち向いてきたあのシーンめちゃめちゃ怖くて、とても良かった。どうしても蚊帳の外というか、第三者的な立場で観ちゃう中で、お前の問題だぞって目で言われてる気がして、めちゃめちゃ印象的。

終始、重い音楽とざらついた映像は希望の光を見せてくれないし、絶望しかない人生と社会を表しているようでもう…って感じだった…
メタモルフォーゼの縁側の世界線であって欲しいけど、現実はそう甘くないよな

救急車伏線何だったの…とかなんかいろいろ考えちゃってずっしりきた。この作品をどう捉えるかは年代とか経験によって変わってくるだろうから、いろんな感想を見るまでセットで鑑賞体験なんだと思う。公開からだいぶ経ってるけど、まだ映画館でやってるのが頷けた色んな人に観られるべき映画。


河合優実も磯村勇斗も仕事選んでいい作品に出てる感があって好き。
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