あんまり面白くなかったかしら。
この手の話ってリアルに振るか、エンタメに振るかの二択じゃないかと思うのです。今作はリアルに振ってるんだろうけど、どうもリアルに感じることができないと思ってしまったのでわたしの負けという感じですね。
だって老人が多くなったから姥捨てをしましょうというのはわかるんですけど、でも老人が多かったらそういう政策にならないよね、というのは今の日本を見ていると強く思うわけです。
そこを乗り越える何かがないと入り込めないといいますか、ヌルっと老人はいりませんといわれてもなぁ……という気になってしまったのです。
それこそ食糧危機が、とか独裁者が、でもいいですけど、そこはあんまり触れていない……まあ触れない方向でということなんだとは思いますけど、わたしとしては単に側だけ見せられても共感しづらいという状態にになりました。
で、もうひとつ。
基本的には人間の尊厳に訴えかけるというか、見ている人に投げかける形で、あまり明確なメッセージがあるわけではないのですが、それがゆえに思ったのは、そのわりに描いているのは負の面ばかりな印象だったなということ。
明確には言わないんですけど、切なくて悲しい感じ。
誰かがこの舵を切ったからには、それなりの後押しと理論があったはずなんですよ。個人的にも安楽死とかはあっていいと思っていますし、ありえない話ではないと思います。でもそこにメッセージをあえてあまり見せないのであれば、賛否の両輪が映されるべきだったんじゃないかなぁと。
いや別にいいんです。
結局創作なんて、切り取り方は自由ですし、そういう映画にしたかったというだけのことなんでしょうけど、結果としていまいちリアリティが感じられなくなってしまった気はしました。
